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頭に浮かんだ よしなしごと。


by hanarobo

誰でもない。

1995年。
出産時、大量出血した。




よくあることだそうだ。




ベッドから起き上がってトイレにいくだけでも
息切れした。





手をみると爪が真っ白だった。





鏡を見ると、こわいくらい顔色が悪かった。





看護婦さんは「母乳をやめてください。」と言った。





母乳は体内で血液から作られる。


だから、赤ちゃんに母乳をあげるということは
自分の血をあげているのと同じだ。



だから、



やめろと。






「輸血とか増血剤で、どうにかなりませんか?」
私がそう聞くと、




看護婦さんは、
「いや…そういうのは思わぬ病気がうつることがあって…」と

口をもごもごさせて言った。



結局、



私は輸血や増血剤の点滴は使わず、
鉄剤を服用しながら、





母乳をあげつづけた。








そして今、






薬害C型肝炎のニュースを見るにつけ、





あのときの看護婦さんの表情を思い出す。


目を泳がせながら、
言葉を選んだ。






もし、私が1995年より
もう少し前に出産していたら、





きっと、フィブリノゲンを投与されていただろう。





そして、




あのTVの向こうの原告団の人たちの中にいたかも知れない。





そう思うと、とても他人事とは思えない。







ミスというのは誰にでもあることだから




責められるべきは、



感染するかもしれない薬だと「知らずに」認可したということではなく、
「知ってから」の行動である。




製薬会社は、形だけの報告をし、
厚労省は、患者リストを放置し、

首相の答弁は、他人事みたいだ。



ニュースを見て、



この人たちに憤りを感じない人はいないだろう。




なんてヤツらだ!
人の痛みがわからないのか!
謝れ!







でも、






こうも、思う。





こんな世の中にしてしまったのは、




ほかの誰でもない、





私たちだ











政治や世相に文句を言う人に限って、



投票に行かなかったり、





親方言いなりの、
いわゆる組織票だったり。





それで




何十年も政権交代がないから、
安心してこういう仕組みを作り上げた。



癒着の温床もできるだろう。
賄賂のしがいもあるだろう。
製薬会社と役人も仲良くなるだろう。


そして、

この仕組みを維持するために、
議員と役人は助け合うだろう。










結局は、こんな世の中を





私たちが作ったんだ。




他の誰でもない。




市井に暮らす私たちなんだ。










毎日ひどいニュースを見て、



この国はおかしい」と、



他人事のように言うキャスターを眺めながら、





そう思う。






(参考)
1.『フィブリノゲン問題』
感染の危険のない加熱製剤(ウイルスを不活化させたもの)が
使われるようになったのは、
私の出産の前年1994年8月から。

2.『C型肝炎ウイルス検査受診の呼びかけ』
厚労省による肝炎検査啓蒙サイト
by hanarobo | 2007-12-15 16:30 | 脳内