頭に浮かんだ よしなしごと。


by hanarobo

1983年のビートルズ。

1983年晩秋。


大学祭直前。


私は大学一年生で、文化会演劇系のクラブに入っていた。






大学までは家からキッカリ2時間かかるので、
先輩の部屋に泊まらせて貰うことが多くなり、、、





やがて、居候状態になっていた。w




先輩の名前はみどりさん。(仮名)
1年上の先輩だった。

みどりさんは、「スローなブギにしてくれ」に出ていた頃の
浅野温子に似ていた。




その日も2人で銭湯に行き、すっかりくつろいで
ジャージに着替え、部屋でゴロゴロしていた。






ガラステーブルの上にバドワイザーの空き缶が
乗っかっていて、



それが灰皿だった。




「あんた、きっと煙草やめられないわよ。」


口の端でちょっと微笑んで、
みどりさんは言った。



「だって、他の子はファッションで吸ってるけど、
 アンタ、おいしいと思ってるんでしょ?」



「はぁ。」



「じゃぁ、ムリだわ。 あーやめられないわぁ~」

と、へんな風に語尾をのばしながら、髪をけだるくかきあげた。



私も笑った。




去年までは制服着て、朝から夕方まできっちり授業受けてた生活が、
こんな風に自由になって、私はとてもいい気分だった。








と、そこへ急に
ドアをノックする音。


「お==い!  みどり~ はなロボ~ 」



ドアを開けると3年上の先輩が入ってきた。
タツロウさん(仮名)とMさん。



「おい、これからドライブ行くぞ!」



え?



わ=====い!!



「なんか音楽持ってこい!」



え==と・・・・


ビートルズしかありませんけど。



「いいよ、それで。」



即行。


スッピンに寝巻きジャージのまま、
カーステもついていないオンボロ車に乗って、

これまたオンボロのラジカセで
ビートルズをガンガン流しながら、
ポートアイランドへ。



タツロウさんも、Mさんも
話がとてもうまくて、
車中、みどりさんと私はずっと笑っていた。



だから、目的地があるドライブだなんて知らなかった。




「お== 着いたぞ。降りろ!」



どーでもいいけど、寒いっす。w
何、何ですか、これ。



目の前にはおっきなビルが建っていた。



「これがワシの就職する会社や!」
タツロウさんが言った。



ほ=




大学に入って、やっと大学生生活を楽しみ始めた私に、
『就職』という次の課題がはじめて形を作って現れた。
でも、ピンと来なかった。w



「ワシはここで出世するんや=!」とタツロウさんは叫んだ。



私たちもこぶしを突き上げて「お==!」と言った。
ゲラゲラ笑いながら。




そのあと、



どこを走ったのかよく思い出せない。






とにかく夜がしらじらと明けてきたとき、




私たちは神戸大橋を渡っている最中だった。





そのときタイミングよく曲始まりで、
ラジカセからLOVE ME DOが流れてきた。


さっきまで騒いでいたのに、
なんだか急にみんな無口になった。




神戸大橋の赤い鉄骨が前から後ろへ流れていった。






夜が明けてきた。






「ひさしぶりにビートルズ聴くといいもんだな。」Mさんが言った。





そう。
この頃の私たちにとって、
ビートルズは古かった。




それなのに、とても心に染みた。







過去に戻りたいと思うことはまずないけど、
あの日あの時間になら戻りたいと思う。





ときどき頭を抱えてしゃがみこみたくなるほど
そう思う。






あれからもう24年。




タツロウさんは一度TVで見かけた。




あのポートアイランドの大きな会社・・・・ではない会社の
えらいさんになって、販売戦略について語っていた。


やっぱり望みどおり出世していた。





Mさんは、オトナなら誰でもお世話になるはずの
ゴム会社に入った。


みどりさんは、アパレル会社に入って
そのあと転職したらしい。











みどりさんは私についていくつかの予言を残した。






そのうちのいくつかはあたったが、




これは、はずれた。


「あんた、きっと煙草やめられないわよ。」











あたったのは、これだ。









「あんた、40過ぎてもコンバースはいてるような気がするわ。」
f0103693_14503720.jpg

[PR]
by hanarobo | 2007-12-17 14:57 | 思い出